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2010年8月31日 (火曜日)

女流作家タミコ 其の一

とあるマンションの1室。
何時間も机に向かっては何も書けずに悶々としている女が一人。
彼女の名前は案・垂水子(アン・タミコ)。そこそこ売れている女流作家である。

「ああ~~もう~~何も浮かばないわ~どうしようどうしよう~!!!」
尽きることなくあふれ出る湧き水のように次から次へとアイディアが浮かび
決してネタに困らないようにとの願いを込めて自ら考えたペンネームだったが
完全に名前負けしていた。頭の中には食べ物の名前しか浮かばない。
頼んでもいないのに溢れ出るのはオシッコだけである。

「ああもう、せっかく大手の雑誌で連載してもらえることになったのに
内容が何一つ決まらないなんて。締め切りは目の前なのに。
本当は恋愛経験もなければデートしたこともない
ネズミーランドのお化け屋敷にカップルで入ってキャーッと抱きついたこともない
喫茶店といえば担当さんと打ち合わせに入るぐらいしかない
こんな私が恋愛小説を書こうっていうこと自体が無茶だったのよ。
008310
私の才能の泉はカラカラに乾いてしまったわ。もう何も書けない。
担当さんごめんなさい。もう合わせる顔がない。
いっそこの手で自分の命を・・・死んでお詫びするしか・・・・
あああダメダメ、家族に迷惑がかかる、それにもし新聞沙汰になったら
私の顔写真やプロフィールが全部世間にバレてしまって
もう私恥ずかしくて生きていけないわ・・・・あ、死んでるんだっけ・・・・
私の名前からハーフの若い女性と思ってるファンもいるようだし
夢を壊してはいけないわ。夢を売る商売なんだから。」
タミコは書くのをあきらめて床に寝っ転がりそばに積んであった
少女マンガやレディースコミックを読みふけるという現実逃避を始めた。

1時間後。

「キャーッハッハッハ!!!なにこれ!?いつも通勤電車で出会う素敵な男性が
偶然自分のマンションの隣室に越してきて恋が芽生える・・・ってそんなベタな!
そんな都合のいい偶然があるはずないでしょ!!
これってまるで・・・朝寝坊した女子中学生が「遅刻!遅刻!」と言って
べったりとジャムを塗ったトーストをくわえながら家を出て学校に向かう途中
見知らぬ男子とぶつかってその子が新学期の転校生で偶然隣の席に・・・
っていう昔からの王道ストーリーと一緒じゃない!
こんな古臭い設定が今でも通用すると思うなんてこれだからレディコミは・・・・
・・・・・・この設定、いただきっ!!!!!」
もはやなりふりかまってる場合ではなかった。タミコはスラスラとペンを走らせた。

続く。

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